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陸上競技クラブチーム"SNE Athletes"の公式ブログ

#3 持久系スポーツにおけるウエイトトレーニング:概論

こんにちは、代表のきむらです。

本日からトレーニングについて僕の考えを述べていきます。

 

僕が競歩種目に取り組んでいて他選手と違うことの1つとして、高重量のウエイトトレーニングを実践していることが挙げられます。学部の友人の言葉をヒントにトレーニングの重要性に気づき、大学3年次にストレングストレーニング&コンディショニング(S&C)の分野を学びました。以来、ストレングストレーニングは僕の競技を支える重要な要素となっています。

 

ウエイトトレーニングはストレングストレーニングの一種で、バーにプレート(重り)を乗せたものを担ぐ、または持ち上げるエクササイズを総称したものです。それを僕はスクワット,デッドリフト,ベンチプレスなどの筋力向上を狙うもの(:ストレングスエクササイズ)とパワークリーン,ジャーク,スナッチなど、RFD(Rate of Force Developement; 力の立ち上がり率)向上を狙ったもの(:クイックリフト)に区別し、トレーニングを検討します。

 

持久系スポーツが専門の選手が適切なウエイトストレーニングに取り組むことによって、以下のような利益を得ることができる可能性があります。

  • 動きの効率化
  • スポーツ障害の予防
  • ランニングエコノミーの改善
  • スパート能力の改善
  • etc.

僕はこの中でも「動きの効率化」と「故障・怪我予防」に重点を置いてウエイトトレーニングに取り組んでいます。さて、それはどういうことでしょうか?

 

 

 

「ウエイトトレーニング」は動作の率化を助ける

ウエイトトレーニングを継続的に行うことで運動単位の動員数が増え、その結果として発揮できる筋力が高まるとされています。例えばランニングにおいて、股関節の伸展筋群である臀部の筋肉をうまく使えていない人がいたとします。そういう人は臀部を動作の中で使えるようにするために動作中の意識を高めたり、様々なランニングドリルに手を出すものですが、そもそも運動単位動員数が少ないと筋発揮がうまくできないため、適切に動かすことができなかったり、そもそも臀部を使う感覚自体がよくわからなかったりします。

 

僕も競歩において、昔からお尻周りの筋肉が使えていないと指摘され、それを改善するドリルを教わったりして実践していましたが、いつまで経ってもお尻を使う感覚が分からないままでした。ウエイトトレーニングを本格的に始めてから2ヶ月くらいした辺りから「股関節を伸展させるってこういうことか!すげー!!」となりました。

 

また、ウエイトトレーニングによって拮抗筋に対する抑制が高まることも、動作の効率化が進む機序の一つとして考えられます。例えば膝を曲げる時、主な手動筋であるハムストリングスを動員して膝を屈曲しますが、それと同時に前腿にある大腿四頭筋がリラックスしなければ膝は曲がりません。これと同じようなことが人間の関節の至る所で常に起きていて、スポーツ動作中のように速く強く筋収縮を繰り返しているときには身体を効率的に動かすために、この機構がとても重要になります。

 

 

「ウエイトトレーニング」は障害の予防に繋がる

持久系スポーツ選手はその競技特性から骨密度の低下による「疲労骨折」や、アキレス腱に関する障害,腰痛などを引き起こすことがあります。ウエイトトレーニングの実施によって骨密度の向上や筋腱組織の強度が長期的には高くなるとされているため、非常に有効な手段と言えます。

 

腰痛に対しても、適切な指導を行えるコーチの元で、適切な負荷のウエイトトレーニングを実践することで、腰椎周りの安定性を高めることができ、腰痛の症状を緩和させることが可能です。僕も過去に指導した選手の、適切なウエイトトレーニングの実践がヘルニアの症状緩和に繋がったと言える場面に遭遇しました。

 

 

反論があるのも事実です

とは言え、日本において持久系スポーツの選手がウエイトトレーニングを行うことは、女性のスポーツ選手がウエイトトレーニングを行うことと同様、否定的な意見も根強くあります。

  • 体重が増えるから動きが鈍くなる
  • 体重が増えるから最大酸素摂取量が下がる(←それっぽく聞こえる)
  • 怪我のリスクがある
  • etc.

これらの意見は根拠のない思い込みが背景にありますし、それなりに知識はあるが間違った考え方をしてしまっているということもあります。また、安全に配慮しておらず、目的意識を明確に持たないウエイトトレーニングではパフォーマンスの向上が見られないこともあります。可能であれば全てのスポーツ選手が個人の目的に応じて、ウエイトトレーニングに取り組む,または取り組むことへの抵抗感をなくすことが、持久系スポーツ含め全てのスポーツにおいて大切なことではないか、と僕は考えています。

 

これからもウエイトトレーニングについては少しずつ発信していきます。

 

 

結論

  • 僕はウエイトトレーニングが大事だと考えています。
  • 今後もそんなことを書いていきます。

 

参考

  • Thomas R. Baechele Roger W.Earcle  ストレングストレーニング&コンディショニング 第3版
  • 長谷川博 エンデュランストレーニングの科学-持久力向上のための理論と実践-
  • 勝田茂 征矢英昭  運動生理学20講
  • http://kawamorinaoki.jp/ ←S&Cの考え方について、いつも参考にさせて頂いています!!

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