#16 根本選手、高畠競歩女子10km優勝!
2019年10月27日(日)全日本50km競歩高畠大会
SNE Athletesから出場した根本侑実選手が
見事、一般女子10kmの部で優勝(49分55秒)を果たしました。
スタートして1周、2kmを過ぎる頃には既に1人旅。他者を寄せ付けぬペースで安定した歩きを見せ、5kmを24分39秒で通過する頃には後続に既に30秒近くの差をつける圧倒的レース。
そこからややペースを落とすも、危なげない歩きで優勝となりました。
「ひとまず無事に優勝できて良かったです。単独だったので競る相手がおらず、やや不完全燃焼感があります。記録の面でも不満が残る結果となりました。」
「次は広島県央競歩で10000mの出場を考えています。2年間のブランクを乗り越え、勝負感はかなり戻ってきました。そろそろ記録を出したい。トラックで25周はちょっと長いけど、1周1周で意識を戻しながらレースを作れるのがトラックのいいところだと思うので。2月の日本選手権までにもう少し自信を付けたいです。」
【根本選手の変化】
根本選手の強さを支える哲学があります。
私は学生時代から根本選手を知っています。その頃から彼女は非常にストイックでした。というかストイック過ぎて、正直に言って箱根駅伝のチームにいた私でさえドン引きしていたくらいです。
圧倒的練習量,故障しているのにバイク2時間+バイクインターバル,食事制限,アップ前に30分ジョグ&ダウンで30分ジョグetc...。挙げたらキリがありません。
詳しくは昨年のインタビューを参照↓
そんな彼女が社会人となり、ボロボロの状態から無事復活を遂げた背景には、彼女なりの新しい考え方がいくつか垣間見えます。それを私なりにまとめてみました。
①しっかりと食事を摂ること。
根本選手は、特に女子選手は適切なカロリー,栄養を摂取した上で練習に取り組む必要があると啓蒙しています。
根本選手は社会人になり、職場で子供達に料理を作る機会を得たことをきっかけに、栄養について独学。今ではアスリートが自身で簡単に作れる、栄養バランスの整ったレシピをレシピサイトに掲載しています。
彼女は学生時代に食事制限を初めとする過度な減量をし、故障や体調不良に見舞われた経験をしています。運動時間が長い競歩では特に、食事無くしてハードなトレーニングをこなすことはできません。この意識の変化が、アスリートとして根本選手を大きく変えるきっかけとなりました。
根本選手のレシピをここからチェック↓↓
②競歩をとにかく楽しむこと
学生時代は結果を出すことにしか競歩の意義を見出せなかったという根本選手。それが過度な減量やストイックな生活に結びついたとも言えます。
しかし、社会人となり仕事と競歩を両立しなければいけない今、そのようなストイックさで競技を続けるのは非常に難しい。自分を追い詰めて生活するのは短期的にはプラスの効果があります。しかし、社会人アスリートとして長く続けて熟練していくためには、競歩それ自体を愉しみ、自分の生きがいにしていく必要があります。
技術が上達していく喜び、競歩を通じて出会った友人との交流、競歩選手であるというアイデンティティ、全てを楽しめるようになると、根本選手のように社会人競歩選手として強く在り続けることができるのではないでしょうか。
【最後に】
SNE Athletesでは、社会人としても競歩選手としても活躍していきたいという志を持ったメンバーを募集しています。
競歩界には、競歩界以外でも活躍できる分野を持った優秀な人材が不可欠です。マラソン愛好家やトライアスロンの世界には経営者や会社役員など、ビジネス界で活躍されている方が数多くいます。そう言った経済活動に従事する人達が競技の知名度向上、スケールに大きく貢献しているのが事実です。
競歩界はトップレベルの選手が非常に強く、世界の頂点に君臨しています。しかし、彼らを支える中間層、しかも人としての深い知見を持った社会人選手が少ないことが大きな課題です。
特に競歩は歳を重ねるごとに味が出てくるスポーツ。いつまでも楽しめる競技です。私たちと共に社会の荒波に揉まれながらも、競歩と向き合って自分を高めていきませんか?
ご連絡、お待ちしております!
@racewalkim (Twitter)
文=木村克也 写真=木村克也,りすのんさん(@rinon27)
#15 Wajima, 50km, Mr.Damian and...
4月13・14日@石川県輪島市
全日本競歩輪島大会
日本選手権50km競歩輪島大会
に参加してきました。
14日(日)に行われる日本選手権50km競歩へ向けて場を温めるため(?)、前日の13日(土)は
の各レースが行われます。
そのうち全日本10km競歩にはSNE Athletesから
- 木村 克也(社2)
- 根本 侑実(社4)
が出場しました!
私は50km専門と名乗っていますが、仕事の関係で全然歩けておらず完歩も厳しいということで、全日本10km競歩に出場しました。
【レース結果について】
根本選手は51分00秒で惜しくも9位でした。新年度になって業務量が急に増えたのと、直前に声帯炎を患い、思った通りの練習が積めなかったのが、反省点として挙げられるそうでした。レース後も全く身体に疲労感を感じない…と嘆いていたので、不完全燃焼感の強いレースとなったようです。
根本「スピードや持久系など単一の課題があるという訳ではなくて、全体的に噛み合っていないのが現状です。速いペースを長続きさせることができていない。レース中盤から身体の前傾が強くなり過ぎたり、ロングインターバルをあまりやっていなかったり、多岐に渡る課題を解決する必要があります。
今後の長期的な予定はまだ考え切れていませんが、まずは10kmの馬力を高める必要があると思っています。それが結果的に20kmを速く歩くことに繋がってくると思うので。
ここ最近は現状維持のような状態が続いて、少しもどかしく感じることがあります。しかし、まずは元気に歩けていることに感謝して、少しずつ進んでいこうと思います。」
根本選手は2月の日本選手権20km競歩大会で1時間44分27秒、今回の全日本10km競歩と、復帰してから1年と3ヶ月で調子を上げてきています。愉しみながら競歩を続ける根本選手の歩きには強く惹かれるものがあります。今後も根本選手の応援をどうぞよろしくお願いします。
【日本選手権50km競歩について】
2位 川野将虎(東洋大学) 3時間39分24秒(学生新)
3位 丸尾知司(愛知製鋼) 3時間40分04秒
ということで非常にハイレベルなレースとなりました。丸尾選手が3時間40分台で3位というのは、いかに日本の50km競歩界のレベルが異常かを物語る結果です。
鈴木選手20km競歩で1時間16分台の世界記録、川野選手も20kmでは1時間17分台の自己ベストを持っています。圧倒的なスピードを持っている両選手が50km競歩で本格的に結果を残し始めたことを考えると、今後の50km競歩では持久系の能力に加え、高いスピードを持ち合わせることが急務となってくることが予想されます。今後、日本競歩界はどこまで進んでいくのでしょうか。
【50kmのレース中、筆者は何をしていたかというと…】
機会があり、ポーランドからオープン参加のMr.Damianを給水サポートしておりました。なんとレースが始まるまで会った事すらなく、ファーストミーティングは彼が1km歩いてスペシャルドリンクテーブルにやってきた際というドタバタ劇。
私「Hey, Damian!! I'm Kimura!! I will support your drinking!!」
Damian「Thankl you.」
的な。
給水は無事全て渡すことができ、自己ベストでゴールしてくださいました。ポーランドの代表レベルの選手だそうで、今後の世界大会は彼を積極的に応援していこうと思います。
他にも色々と書きたいことはありますが、今回はここまで。
社会人になっても競歩を続けてきて、試合に出ると本当にたくさんの人に会えて楽しいなと思います。今後も会場で私を見つけたら、積極的に話しかけてください!
#14 本を感じる体験を提供するハコ-海老名市立中央図書館
体験を提供するとはこのことかと、そう感じた時間だった。
海老名市立中央図書館。そこはTSUTAYAやTカードでお馴染みのCCCが海老名市とタッグを組んで運営している、本を感じる体験ができる空間だ。
元々図書館として利用されていた築30年の建物の中を改装しただけあって、ワンフロアが非常に広い。そのお陰か平積みになっている本が多い。フロアの中心は今話題になっている書籍や海外関係の書籍が数多く平積み、若しくは立て置きになっていて、ビジュアル面では申し分無しだ。
雑誌エリアも充実しており、特に壁に何段も立て掛けてあったのが印象的だった。
ちなみにそのうちのデザイン関係の書籍を私自身も手に取り、購入してしまった。
更に館内にはスターバックスコーヒーが併設されており、借りた・買った本をコーヒーやフラペチーノ,ケーキ等を楽しみながら読むことができる。実際に私も利用した。もちろん勉強やPC利用をしている人も数多くいたが、蔦屋書店で買った雑誌を捲っている人や、図書館で借りたであろう難解そうな書籍に耽っている人も多かった。
そういった本を探し、手に入れて、感じるといった一連の体験を、この施設のみで完結することができる点は今までの図書館には無かった。この"感じる"といった点が重要である。コンテンツ氾濫時代と言われて久しいこの時代で、人々に書籍というコンテンツに目を向けてもらうための施策とこの施設は真摯に向き合っている。
私がデザインの本を購入した際の蔦屋書店員さんとの会話で、そのことを更に深く分かると思う。
「デザインやられているんですか?」
-最近始めました。コピー広告ですけど、どうせやるなら完成度を高めてみようと思って。雑誌コーナーに立て置きされていて見栄えも良かったので手に取ってしまいました。
「最近の本はデザイン系に限らず、文芸やビジネス書でも装丁に凝ってますから、ビジュアル良く魅せるのに拘って配置しているんですよ。いつもご来館なさっているんですか?」
-いえ、初めてです。蔦屋書店さんと官民一体で運営されている図書館があると聞いて、興味を持って足を運んだんです。
「そうでしたか、ありがとうございます。本をよくお読みになるのでしたら、土日に足を運んでみませんか?毎週何かのテーマに沿って市民の方々が本を持ち寄り、紹介するイベントがあるんですけど、なかなか広まらなくてね(笑)」
-参加したい!! けど実は土日は仕事なんです。火曜水曜がお休みで、この曜日にしか来られないんですよ。土日は結構盛況なんですか?
「平日でも見ての通り、かなりの人にご来館いただいておりますが、土日はもっと凄いです。キッズスペースも充実しているため、子連れのお客様も多くいらっしゃいます。マルシェやピアノコンサートも開催していて、図書館という施設が市民の方々の交流の場となるように、様々な試みをしています。
特にピアノコンサートは、司書が選んだ本のイメージに合うような曲を奏者が演奏してくれるというものです。このように本は読むだけでなく、五感で感じるものなんだなと多くの人に知っていただければ、まだ書籍にも活路はあるのかなと、私は信じております。」
-興味深い話、ありがとうございます。よろしければ今のお話、私が書いているブログに書かせて頂きたいんですけど、いかがですか?(笑)
「どうぞどうぞ(笑)できればテーマに沿って本を紹介するイベントをもっと広めて欲しいので、どんどん書いてください。」
-ありがとうございました。
初対面の私にもこのような話を自然としてくださるあたり、素晴らしい書店員さんだったと思う。
本を感じる体験を提供するというのは、日頃からあまり本を読まない人にとっては良いアプローチかもしれない。出版業界は厳しいと言われ始めてからかなり年月が経ったが、このような施設が増えると、もっと書籍に親しみを持つコミュニティができ、書籍の新しい時代がやってくるかもしれない。
競歩界でも同じようなことができるのではないか?と私は思ったのであった。
※元旦競歩大会の結果は、次回以降に執筆するインタビュー記事をもって換えさせて頂きます。
#13 元旦競歩大会 出場選手紹介
-僕が歩くことで、1人でも多くの人に競歩を続けるという選択肢を採ってもらう。それが僕の歩き続ける理由です。
-"あと一歩の男"から脱却します。
-久しぶりに「ちーん」ってなってる。
今回の元旦競歩大会には、2019年の日本選手権20km競歩で引退を表明している
谷井選手は僕が憧れている選手の1人です。僕はロンドン五輪の50km競歩を観て、大学では50km競歩に挑戦したいと決心しましたが、そのときに日本代表として出場されていた3人のうちの1人が谷井選手です。
もうそんなに月日が流れてしまったのでしょうか。
今年の元旦競歩は僕の中で、今までとは少し違う特別なものになりそうです。
競歩関係の皆様、明日はよろしくお願い致します。
良いお年を。
#12 第57回全日本50km競歩高畠大会 出場選手紹介
進路も決まったんで、もう迷うことはない。やってやりますよ。
「"楽しそうだね” と言ってもらえるように、できるだけ速く,生き生きと歩きます」
#11 大和千秋選手 ”やりたい!時が1番歩ける”
#10 根本侑実選手 独占インタビュー
(文・写真:きむらかつや @racewalkim )